決算インタビュー
2011年3月期決算を終え、デジタルエンタテイメント事業の抜本的強化に取り組む

2011年5月30日

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多様なプラットフォーム展開のために、自律的に成長する組織へ

決算説明会では、ゲーム開発の能力が想定していた以上に弱くなっていたと反省の弁を述べましたが。

和田
ゲーム開発の能力だけでなく、ビジネスを創造する能力も改善が必要です。総じて、戦略の浸透、徹底が足りなかったという認識であり、すでにさまざまなことに着手しています。例えば、これまで開発途上のコンテンツについては、そのプロジェクト担当以外の部門に公開することはなかったのですが、切磋琢磨するために情報を共有するようにしました。新たな収益源にしなければならないPDLC(プレミアム・ダウンロード・コンテンツ)については、全社員を対象にした研修を実施していく考えです。また、私が何を考え、今後どうしたいのかといった内容についてもストリーミング映像を使って、直接に世界のグループ社員全体に発信していきます。より具体的な事例で戦略を伝えることで意識改革を図っていきます。

事業戦略として、以前からグローバル化、ネットワーク化、自社IP強化の3つを掲げていますが、その進捗状況は。

和田
日米欧3拠点でのコンテンツ開発体制の整備は、順調に進捗しています。本年度以降の課題は、欧米拠点における販売以外の機能の強化、同時に新興国市場を開拓することです。具体的には、インドや東南アジア諸国、東欧などを対象にしており、今期中にはある程度の芽を出したいと思います。基本的には、それぞれの国や地域の消費者の嗜好に合わせたコンテンツを新しく開発していきます。現地の事情に通じたネットに強い力を持つディストリビューターの開拓が急務です。
ネットワーク化については、ブラウザゲームやスマートフォン向けゲームなど成長が期待できる分野のゲーム開発を推進していきます。この分野では、ヤフー株式会社と共同運営している「戦国IXA」(ブラウザゲーム)がスタートから8ヶ月強で登録ユーザー数が50万人を突破しましたし、「ニコッとタウン」(仮想生活コミュニティ)も好調に推移しています。これにタイトーの「乙女シリーズ」(ソーシャルゲーム)などを加えると既に15億円の利益が出る状況になっています。今年3月には子会社のヒッポスラボが新たに発足しており、来期には、これら新分野で最低でも利益の倍増を予定しています。欧米市場でも同様の事業を今年から展開します。欧米の地域特性を掴んだネット・コンテンツを新たに開発していきます。
社内ではAAAタイトルと呼んでいますが、様々なプラットフォーム展開ができる核コンテンツという意味での自社IPの強化については、10以上の強力なIPの構築が必要だと思っています。過去3年間の失敗は、できるだけ多くの芽を出そうとするあまり、企画の最初の段階の査定を甘くしたのが敗因でした。ゲーム開発における品質重視、こだわり重視というスクウェア・エニックス・グループの原点に回帰する必要があると、意を強くしています。開発スタジオ別に言うと、東京では「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」並みの新規IPを2つ、カナダ、デンマーク、英国のスタジオでそれぞれ1ずつの新規IP開発を当面の目標としています。足元ですでに開発を進めているものもありますが、やはり3年以上の歳月はかかると思います。
 できれば、来年、再来年にその中から大型タイトルを市場に投入したいですね。いずれにしても、前期で膿を出せたはすなので、今期は腰をためて再起を期し、来期以降の大幅な利益増を目指します。

(聞き手:ジャーナリスト 磯部元志)
取材日:2011年5月16日

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