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2013年3月期 株主の皆様へ

次に収益モデルについて述べさせていただきます。モバイルデバイス向けゲームも含めたオンラインゲームの分野においては、いわゆるFree to Play(F2P)モデルに代表されるような柔軟性のある価格モデルが主流となってきております。F2Pモデルのゲームは、ゲームの販売単位が物理的なディスクではなく、ゲーム内のアイテムや仮想通貨であることから、ゲーム流通上の制約がなく、プレイヤーの需要に応じて収益を変化できる点で柔軟なモデルです。ここではF2Pと固定価格モデルの対立を論じるという趣旨ではありませんが、昨今、ゲームをプレイする環境は大きく変化し、お客様のゲームに対する嗜好も大きく変化しております。ゲームをするためのデバイスも大きく進化しており、またお客様がゲームに求める体験もそれに応じて様々なものになってきております。従って、我々ゲームメーカーも、ゲームを提供させて頂く点において柔軟でなければならず、ディスクを介してのゲーム販売という限られた出口から、ゲームを遊んでいただく環境に応じた多様な収益モデルを考えなければならない時代になってきております。そのような流れの中、HDゲーム事業においても、単にディスク単位の収益モデルから柔軟な収益モデルをどのように実現してゆくかという点が事業上非常に重要であり、これが今後のHDゲーム開発の在り方を規定してゆくものと考えております。

昨今のスマートフォンやスマートタブレット等の進化は驚異的なものがあります。また、家庭用ゲーム専用機もスマートとなってきています。これらが収斂してゆくのか拡散してゆくのか予測はつきませんが、いずれの方向であっても、我々はゲームを供給できなければなりません。また、これらに加えてマイクロコンソールといわれる新しいゲーム機も登場し、クラウドゲーミングサービスも商用化段階に入ってきており、我々がHDゲームを提供できる環境は、従来のPCや家庭用ゲーム専用機だけの時代から大きく広がってきております。すなわち、いろいろなデバイス、いろいろな環境でHDゲームを遊べる時代になってきているということであります。これは、大変大きなパラダイム変換です。従来型のディスク販売のビジネスモデルにおいては、ゲーム開発とゲーム販売を切り分けて、それぞれが部分最適を目指すことで全体としての最適化を達成できた分業モデルでした。ゲームの提供がディスクを通してのものであるがゆえに、ゲームの価格はディスク単位で付けられ、ゲーム開発はゲームディスクのもとであるゴールドマスターの完成に特化注力で き、ゲーム販売はディスク販売数とその単位価格を最大化することに特化することで全体の収益を最大化することができたモデルでした。しかしながらスマートデバイスが普及し、様々なデバイスや環境でHDゲームが楽しめるようになると、ゲームの提供方法はディスク販売一辺倒にはなりません。かつての分業体制から収益モデル設計とゲーム開発が一体化する方向に移行してゆかなければなりません。これは、我々にとって新たな挑戦です。新たなスキルセットを要求される大きな挑戦です。しかしながら、これを克服することで新たな事業機会が開けてきます。我々は、ゲームを開発し販売する会社であります。従ってデバイスがどのようになろうとも、ゲーム環境がどのように変化しようとも、お客様にゲームをお届けできなければなりません。ハイエンドなゲームを遊べる環境は確実に広がっており、我々が今まで培ってきたゲーム開発能力を遺憾なく発揮できる時代になってきているものと確信しております。従来と大きく違うのは、収益モデルです。収益モデルの変化に対応しつつ、質の高い我々ならではのゲーム体験をお客様にお届けできるような体制を早急に整えることが、今年度の重要な目標であります。


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