株主の皆様へ

さて、ここで当社の中核事業であるデジタルエンタテインメント事業における戦略的課題ついて述べさせていただきます。

昨年の社長就任にあたり、1)長期大規模開発の見直し、2)ゲーム機としてのスマートデバイス、3)地域に応じたプロダクトポートフォリオ、という3つの項目を重点課題に掲げて事業運営を行ってまいりました。以下それぞれについてご説明申し上げます。

1) 長期大規模開発の見直し

HD(ハイ・デフィニション)ゲームはスクウェア・エニックス・グループのDNAであり、クリエイティブのショーケースです。HDゲーム開発は私どもの事業にとって引き続き重要であることに変わりはありません。しかしながら、昨年のアニュアルレポートにおいて述べたように、現在のHDゲーム事業を特徴づけているディスク販売モデルの構造的な問題は深刻であり、これにどのように対処してゆくかは非常に重要な経営課題です。現在一つの大きな方向として、いわゆるF2Pに代表される変動価格モデルがHDゲームビジネスシーンにおいても普及しつつあり、すでにいくつかの成功事例も出てきています。 また、昨年から、順次発売されている新しい家庭用ゲーム機において各プラットフォーマーは従来の有料コンテンツ販売に加えて、F2Pモデルのコンテンツ提供にも力を入れてゆく姿勢を見せています。私どもにとっても、このような新しいビジネスモデルに基づくオンライン型のHDゲーム展開は構造改革の重要な柱であり、欧米スタジオにおけるHDゲーム開発についてはその方向にむけて大きな見直しを行いました。現在公表しているタイトルはまだ限られていますが、変動価格モデルに基づくHDゲームタイトルを、今後順次ご紹介してゆく予定です。

また、HDゲーム開発のもう一つの大きな問題点として資産の回転が低いという点があげられる、と昨年のアニュアルレポートで述べました。開発期間の長期化にどのように対応するかということです。ゲームエンジン研究や開発ツール研究といったテクノロジー面の研究は言うに及ばず、ビジネスモデル面においてもゲーム発売前後でどのように追加的にお客様にコンテンツを提供するか、派生商品開発やエピソードモデル等の新しい取り組み等、挑戦すべきところは多々あります。これらについては現在鋭意取り組んでいるところであり、今後、あらためてその成果をご報告させていただきたいと考えています。

次に、テクノロジー、ビジネスモデル両面において新たな可能性を秘めているのがクラウドゲーミングです。社内において新しいクラウドゲーム技術の開発プロジェクトが立ち上がり、商用を目指して現在事業開発中です。今年6月のE3においてもその技術の先進性に対してメディア等から高い評価をいただいたのは記憶に新しいところです。また、「ドラゴンクエストX」においては、台湾のユビタス社の協力の下、スマートフォン・タブレットへのゲームストリーミングサービスを開始しており、今年9月からはニンテンドー3DSでも、サービスを開始する予定です。クラウドゲーミングは既に実用段階に入ってきており、2015年3月期以降、その成果をいくつかご報告できると考えています。

このようにHDゲーム事業は従来のゲーム専用機におけるディスク売り切りモデルから進化する兆しをみせています。また、売り切りモデル自体もディスク販売からフルゲームダウンロードに急速に移行しつつあり、ゲーム販売も本格的なデジタルディストリビューションの時代に突入しています。私どもも、このような変化を大きなチャンスととらえて、HDゲーム事業を新たに進化させるべく努力してまいる所存です。

ページの先頭へ

印刷 PDF