IR情報

2016年3月期 株主の皆様へ

2. VR/AR

今年はVR元年と呼ばれて、VR機やその関連機器、VRコンテンツがいよいよ本格的に発売となりました。当社グループもこの分野には大変な関心を有しており、すでに一部のプロジェクトにおいてVRコンテンツの開発を進めております。一方で、VRは体験しないとその面白さがわからないということから、現在はメーカーやディベロッパーといったサプライサイドが主導する状況にあります。機器本体も含めて、現在のユーザーの初期投資負担は決して軽いものではないものの、その体験はいまだかつてない驚きをもたらすものでありますし、またゲームにとどまらない様々な分野での応用可能性があることから、VRは大きなマーケットとなるであろうと考えております。 VR/ARを有効に活用することで、当社グループのコンテンツ資産はより豊かになりますし、またVR/AR固有のコンテンツ開発も行ってゆく計画であります。当社グループのコンテンツ提供は、家庭用ゲーム機やスマートデバイスにとどまらず、アミューズメントや出版物、フィギュア等の有体物など多岐にわたっております。こういったコンテンツ群に対してVR/ARという新しい技術を導入することで、どういった化学反応が生じるか、クリエイターの力が大いに発揮されることを期待したいところであります。 またVR/ARと一口に言っても様々なものがあり得ますが、当社としては、やはり他社とは違う当社グループらしさを活かしたコンテンツの提供を行うべきであると考えております。今後のHDゲーム機においては、「VRモード」が標準機能として要求されるでありましょう。HDゲームをVRコンテンツ化することにより、より没入感のある新しいゲーム体験が得られます。そしてその分野こそ当社グループの強みが一層活きる分野であると考えております。 またVR/ARに加えてAI(Artificial Intelligence:人工知能)の分野でも様々なイノベーションが起こっております。先進的な研究成果をゲームAIに活かすとともに、エンタテインメント分野で培ってきたゲームAIがロボット開発等に応用されることも期待したいと考えております。ロボットがB to BからB to Cに広がってくる暁には、エンタテインメント性が必ず求められると考えております。そういった分野ではゲームAIの技術・知見が活きる可能性があります。エンタテインメントの視点からロボットAI技術に関わる可能性を模索してゆきたいと考えております。

3. 新興市場開拓

数年来、新興市場開拓を掲げてまいりましたが、残念ながら、まだ十分な成果が出せておりません。その間も新興市場は着実に成長しており、当社グループの成長戦略においてこれらのマーケットの成長を取り込むことが重要なテーマの一つであることは論を俟ちません。 中国は、ゲーム、特にオンライン・モバイルの先進国であり、日本、欧米と並ぶ主要なマーケットです。コンテンツ事業の展開については現地企業とのパートナーシップを通じて行うのが有効であると考えており、今後も主要なプレイヤーとの協業により中国市場での展開を行ってまいります。

中東、南米(特にメキシコ、ブラジル)は、消費市場として急成長しております。こういった国々へのゲーム供給に当たっては、言語ローカライズは必須です。これまでの当社グループの言語ローカライズは、いわゆるEFIGS(英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語)を中心としておりましたが、これからは人口の多い言語という点から、中国語(簡体字)、アラビア語、ポルトガル語も必須であると考えております。 当社グループの欧米スタジオは従前より多言語展開しておりますが、日本スタジオのタイトル群についても、こういった人口の多い言語のローカライズを常時行える体制を早急に整備すべきと考えて対応している次第であります。世界戦略タイトルを言語ローカライズすることにより現地でのプレゼンスをあげてゆくことで、新興市場攻略の足掛かりにしたいと考えております。

以上、2016年3月期の事業実績と2017年3月期以降の展望について述べてまいりました。2016年3月期は、売上高が初めて2,000億円を超え、親会社株主に帰属する当期純利益も過去最高となりましたが、今後、上述の施策を鋭意実施することにより、さらなる売上・利益成長を目指してまいります。 また、株主の皆様への利益還元方針につきましては、連結配当性向30%を目途に、投資と分配のバランスを考慮しながら配当を中心に還元施策を実施してまいります。 VR/ARやAI等、新しい投資機会、事業機会が次々と現れております。そういった機会を逃さず将来の成長に資する投資をタイムリーに行うことが重要と考えている次第であります。

株主の皆様の変わらぬご支援をお願い申し上げます。

代表取締役社長

松田洋祐


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