IR情報

2017年3月期 株主の皆様へ

各事業の概況
デジタルエンタテインメント事業

2017年3月期のデジタルエンタテインメント事業は、売上高1,990億円、営業利益333億円と2016年3月期と比べて増収増益となりました。HD(High-Definition:ハイディフィニション)ゲームにおいては、「ファイナルファンタジーXV」、PlayStation®4版「Rise of the Tomb Raider」、「Deus Ex: Mankind Divided」、「NieR:Automata」といった大型タイトルが収益に大きく貢献しました。「ファイナルファンタジーXV」は、「ファイナルファンタジー」シリーズ本編の最新作として、2016年11月29日に全世界同時発売をいたしました。おかげさまで世界的な大ヒットとなり、世界中のゲームファンの皆様に楽しんでいただくことができました。発売後もDLC(DownloadableContent:ダウンロードコンテンツ)の配信やアップデートを行うことにより、長期にわたってより多くの皆様に遊んでいただけるような取り組みを続けています。また、「Rise of the Tomb Raider」は、2016年3月期にXbox One / Xbox 360版を先行発売、続いてWindows版を発売し、2017年3月期はPlayStation®4版を発売したものです。世界的にも非常に高い評価をいただき、「Deus Ex:Mankind Divided」とならんで当社グループ製品のクオリティの高さを示した作品となりました。また、2017年2月に発売した「NieR:Automata」は、当初の想定を大きく上回る世界的なヒットとなり、日本のゲームの品質が高いことを世界に再認識させるだけでなく、今後のフランチャイズとしての大きな展開を期待させる作品となりました。 MMO(Massively Multiplayer Online:多人数同時参加型オンラインゲーム)は、「ファイナルファンタジーXIV」、「ドラゴンクエストX」とも安定的な運営に努めてきました。このような安定運営に加えて、「ファイナルファンタジーXIV」では、2016年12月に拡張版「紅蓮のリベレーター」の発売日を発表したことなどから課金会員数が伸長しました。なお、2017年6月の同拡張版発売にあたっては、2013年8月の「新生エオルゼア」のサービス開始以来最高の課金会員数を記録するという快挙をなしとげています。また、「ドラゴンクエストX」も2018年3月期中の拡張版の発売を予定しており、MMOビジネスは収益の安定に大きく貢献しています。 スマートデバイス、PCブラウザゲーム等は、2017年3月期前半は苦戦しましたが、後半は自社IP(Intellectual Property:知的財産)タイトルを中心にヒット作を提供することができ、前半の遅れを取り戻しました。「日本のモバイルゲーム市場は成熟した」と巷間よくいわれますが、「成熟」は「停滞」や「衰退」ではありません。モバイル端末、なかんずくスマートフォンは、ゲームデバイスとして既に確固たる地位を確立しており、ユーザーの皆様がスマートフォンでゲームをするのが当たりまえの光景になったということにすぎません。またゲームタイトルも、新旧取り混ぜて多数のタイトルが提供され、ゲームファンの皆様の選別も厳しくなってきています。お客様のプレイ時間の奪い合いは激しさを増し、お客様のスマートフォンの画面に席を占めるための競争は一層苛烈になってきています。これは、魅力ある面白いゲームでなければ生き残れないという、極めて当たりまえのことであり、いよいよゲーム会社の力量が試される時代となった、それが「成熟」ということであると理解しています。 2018年3月期は、2017年3月期の反省も踏まえ、私たちの強みを活かしたより一層洗練したゲームをお届けすることにより、スマートデバイス、PCブラウザ等をプラットフォームとしたコンテンツにおいて、1,000億円を超える売上高を目指してゆきます。

アミューズメント事業

2017年3月期のアミューズメント事業は、売上高427億円、営業利益36億円と安定的に推移しました。新規アーケードタイトルにつきましても、「ガンスリンガー ストラトス3」、「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ~after school ACTIVITY~」等の新作を投入し、お客様から好評をいただきました。また、2016年9月には、池袋にパブリックビジョンを配した大型店舗・タイトーステーション池袋西口店をオープンし、同時に開設したカフェ「STORIA」とともに、ゲーム体験の新たな発信基地としてお客様から多くの支持を集めています。さらに2018年3月期は、博多にチームラボ株式会社様と協業して新たな形態の店舗を開設するなど、アーケード店舗の進化をお客様にご覧に入れたいと考えています。

出版事業

2017年3月期の出版事業は、売上高100億円、営業利益24億円と出版業界全体が苦戦する中、当社においても大型作品の終了やアニメ化作品の端境期にもかかわらず、増収増益となりました。また、数年前より進めてきたデジタル販売がいよいよここにきて伸びてきており、出版事業全体に占めるデジタル販売比率は15%を超えてきています。お客様のペーパーメディア離れは明らかであり、電子書籍化・デジタルメディア対応は不可逆的な流れです。出版事業者として、こういったお客様のリーディングスタイルの変化に対応することは必須であり、在庫、返品問題の解消等デジタルメディアならではの事業特性を活かした構造転換は待ったなしとなっています。当社としても2017年3月期は従来の電子書籍に加え、「マンガUP!」というアプリを新たに配信することで、お客様の利便性をさらに高め、新規購入につなげてゆく試みを行いました。また、「ヴァニタスの手記」、「八雲さんは餌づけがしたい。」、「ハッピーシュガーライフ」等、今後に期待できる作品が多々出てきています。常々申し述べているとおり、出版は新たなコンテンツの畑です。日本の漫画・アニメは世界的にも大きな評価を受けている強力なIPです。それを生み出すのが出版事業であり、それをこのデジタル時代にいかに多面的に展開してゆくかが重要な戦略となります。出版ビジネスの外縁を従来のコミック販売に限ることなく、より広く捉えることで、一層の収益拡大を追求してゆきます。

ライツ・プロパティ等事業

2017年3月期のライツ・プロパティ等事業は、売上高64億円、営業利益21億円と、増収増益で終了しました。ライツ・プロパティ等事業は、当社のオリジナル商品を補完強化する重要な事業ですが、2017年3月期はドラゴンクエスト30周年を記念した商品・サービスの販売、「ファイナルファンタジーXV」関連商品が特に好調で、収益を大きく伸ばすことができました。また、2016年10月に秋葉原に開設した「SQUARE ENIX CAFE」は、想定を大きく上回る来店客数を記録し、多くのお客様にタイトル関連グッズをお買い上げいただいています。「SQUARE ENIX CAFE」は当社公式ショップとしての商品販売のみならず、当社製品・サービスにかかる重要な情報発信基地として機能することを期待しています。これからもより多くのお客様にご来店いただくべく、商品・サービスの充実に努めてゆきます。


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