2011年11月25日 中央大学 講演概要
「ゲーム産業の業態変化」

(スライド続き)*

何がイノベーティブだったかという話ですね。まず、何と言っても、そのビジネスモデルですね。これは試行錯誤から産まれた。ゲームセンターで流行ったドンキーコングの中のキャラクターを使って家庭用ゲーム向きに開発したタイトルがマリオです。初期段階では、だいたいこんな感じ。ゲームセンターのタイトルを家庭用に移植していましたね。となると、他業者にもできる。そこそこファミコンが売れ始めると、ゲームセンター向けにコンピュータゲームを投入していた他業者も勝手にファミコン向けのソフトを作り始めた。任天堂さんにしてみれば、折角リスクを取って開拓した市場を荒らされてはたまったものではない。また、劣悪なソフトが市場に溢れれば家庭用ゲーム自体が信頼を失い市場がなくなる。お客様のためにも良くない、と考えた、おそらく。もっとも、任天堂さんも自分勝手なんですよ。ゲームセンター黄金期に、スペースインベーダーのコピーやパクリが出まくったんですけど、任天堂さんも戦犯。今でもYoutubeで観れますが、某TVインタビューで、パクリでは?と質問されたのに対して、当時の山内社長が「ソフトは共有財産。コピーするなというのは了見が狭い」とシャアシャアと仰っている。その理屈ならプラットフォームはもっと共有財産であるべきですけどね。まぁ、とにかく対処する必要が出てきたわけです。一般的に言って、ハードというのは、初期出荷されてから刻々と変更されるんですね。皆さんから見ると表面が変わらないので解らないでしょうが、中身はどんどん進化して変わっているんです。余談ですが、PSなんて、都度分解して蓋を開けると、中身がどんどん小さくなって行って面白かったですよ。さて、この事情はファミコンも同じ。ところが、各業者はダマテンでソフト開発していますから、機材構成なんてさっぱりわからない。不具合も出てきたんですね。ここに任天堂さんは着目した、はず。マスクROMはウチが製造してやる、その場合は任天堂が動作保証を付ける、また、流通もやってやる。ソフト開発業者にはいい話だったんですね。当時品不足だったICチップ押さえるのも、動作確認も、面倒な流通も、全部やらなくていい、開発に専念できる、こう思ったんです。ここでROM製造原価に上乗せしたのがロイヤルティの起源なんです。ソフトに任天堂公認マークが付き、販売も独占したので、初期段階のブランドコントロールは完璧。それでますますファミコンが売れる。ソフト業者が殺到し、生態系全体が潤う。ネットワーク外部性をフルに活かしたビジネスモデルが完成したわけです。

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