2011年11月25日 中央大学 講演概要
「ゲーム産業の業態変化」

(スライド続き)*

それと二つ目は、これも画期的だったんですけど、ハードとソフトのアンバンドル。分離したということですね。ゲームセンターのゲームはさっき言ったみたいに1台1ゲームなんです。「スペースインベーダー」とか「鉄拳」とか1台なんです。ところがそれを分解したんですね。ハードとソフトを分解した。何が起こるかというとネットワーク外部性が働くんです。さっき言った話。ネットワーク外部性が働くと、すごく産業がスケールするんです。アミューズメントは全然悪くなくて、生き残った数社はソコソコ利益出てるんですよね。だけど伸びてないでしょう。これアミューズメント施設が人気ないからじゃないんです。わざわざ外でゲームをやらない、場所がないといわれるけど、そうじゃない。場所なんていくらでもある。私が学生のときインベーダーは喫茶店でやってましたよ。当時は、お茶屋にまで持っていったらしいですよ。芸者さんの横に畳の上にインベーダーが置いてあったりして。だから場所の開拓なんてやろうと思えばできるんです。それは本質的な問題ではない。ようするにネットワーク外部性によりスケールアップができなかったのがアミューズメント業界なんです。一方、家庭用は、ソフト、ハードのアンバンドルが行われてネットワーク外部性が働いて先ほどのエコシステムがぐるぐるまわりましたから、ものすごい勢いで伸びたんです。 それとコントローラー。これ皆さんにしては当たり前すぎるんでしょうけど、大発明なんですね。ゲームセンターでは1台、1ゲーム。操作性が各々全然違うんですよ。そこに汎用性を持たせた。かといって通常のPCのようなインプットではゲームのような複雑な表現はできない。非常に複雑なインプットが出来て且つ汎用化するという二律背反を成し遂げたのが、ゲームコントローラーなんです。これもさっきのネットワーク外部性の一インフラなんですね。物理的なユーザーインターフェースが全部違ったらばソフト書けないですよ。更に、お客様もこのコントローラーでトレーニングされていきますから、ますます機能する。 最後に、カッコしてあるのは、ご本人達が思ったわけじゃないけど結果が出ましたという意味なんですけど、セーブデータが可能になったということも大きいですね。任天堂という日本の会社が家庭用ゲーム業界を創出しましたので、初期のソフトメーカーはほとんどが日本の会社でした。大体はゲームセンター用にソフトを書いてた人が家庭用の方に流れてきたんですね、家庭用ゲームの方に。例外が、スクウェア、エニックス、コーエーぐらいじゃないですかね。これらはパソコンから来ました。彼等は、まぁ我々という事ですが、ゲームセンター文化に全く染まっておらず、PCの保存機能なんて当然だと思っていたわけですね。セーブ必須だったのが、RPGとシミュレーション。ゲームセンターの機械、遊び方にはセーブという概念がありませんでしたから、これは全く新しいゲーム体験だった。従って、大ブレイクしたんです。何が言いたいかと言うと、新規要素が加わる事で新しい業者が参入し、新しいモノが産まれて多様性が確保され、益々生態系が発展するというダイナミズムですね。 任天堂さんは、この後もGameBoyという破壊的イノベーションを、もう一回起こしている。私は、山内さんはジョブス以上に評価されていいと思っています。

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