2011年11月25日 中央大学 講演概要
「ゲーム産業の業態変化」

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スライド13をご覧ください。これイメージ図ですよ。契約違反はしてませんよ、守秘義務守った上で、且つ誰かを誹謗中傷してもいません。あくまでイメージ図です。ソフト会社の取り分はこれくらいだったんです。要するにあまりよくなかった。更にこの図に書いてない困難もありました。ROMカートリッジを焼き込むと納期が2ヶ月くらいかかるんです。すごい負担なんですよ。2ヶ月後でしょう。売れるかどうかわからないですよね。ものすごく作ってしまって全然売れませんという事になると、全部在庫で打ち返ってきてしまう訳ですよ。でも作らないとチャンスロスが出てきちゃう。出してみたら思ったより売れたと。おぉ大変だと追加生産しようといったらまた2ヶ月かかります。その頃には熱が冷めちゃう。やりすぎると膨大な在庫になるし、やらなすぎると機会損失になるという事で、ニッチもサッチもいかなくなっちゃった。お客様にとってもゲームが1万円なんていう値段なわけですよね。それでCD-ROMにしましょうという事になった。任天堂さん以外、全部CD-ROMにしたんです。その当時、いっぱいハードメーカーが参入してきました。セガに加えて、ソニー、NEC、パナソニックも入ってきました。バンダイさんが最後かな。日本が家電王国と言われていた頃ですよ。任天堂市場が崩れたのはこれが理由なんです。CD-ROMにしたらメディア代がめちゃくちゃ安くなるんですよ。ROMという精密機械ではなく、板ですから。それから納期がものすごい短いんです。本気でやったら1週間かかんないですよね。ラインを本気でまわせば。だから生産の読みが正確になるんです。そうすると在庫リスクが減るから流通マージンも落ちる。このCD-ROM陣営が素晴らしかったのは、コストがセーブされた分を、全部、ゲームソフトを作る側とお客様に還元した事なんです。これね、これだけ減らしたらば普通ここ並行移動して、セーブした分自分の利益にしようとハード会社が考えるとこなんですよ。ところが、ソニーさんはじめ素晴らしかったのは、ネットワーク外部性が働くということを10年間学習したんで、全部お客様と作る側に吐き出したんです。だからものすごく市場が伸びたんです。これが二つの戦争の最初の部分。いいソフトが出たからソニーが勝ったとかそういう話じゃなくて、この図表の右と左を見たら一目瞭然ですよね。本当にここは面白い。まさにイノベーションのジレンマ。64bit時代になっても、まだ任天堂さんはマスクROMに固執していましたからね。さて、その中でなぜソニーさんが勝ったというのは全然別の理由。なぜ、セガ、パナソニック、NEC等々じゃなかったか。それはやっぱりソニーがソフトの会社を持っていたからなんです。ソフトのマインドがあったんです。ソニーミュージックなんですよ。ソニーの中でプレイステーション作ってるのってソニー・コンピュータエンタテインメントという子会社なんですけども、ソニーの家電のノウハウとソニーミュージックのクリエーターを扱いなれた人々と、それから非常に優秀なアドミニストレーションの人々、この3つが一瞬にして社内ジョイントベンチャーとして形成されたわけですね。それで勝てたんです。この3要素を瞬時にして集められたのがソニーだったんです。セガを除く、他社さんはそこまで持ってなかった。それからCD-ROMの流通経路の応用ができたのもソニーだったんです。ソニーミュージックを持ってたから。音楽CDを売ってたんでね。あの流通網が使えたんです。セガさんは持ってなかった。NECさんも。NECさんだとパソコンからいきますよね。それから、エンタテインメントとして感性を持っていたのもその中だとソニーさんとセガさんとバンダイさんくらいかな。すべての要素を一瞬にして吸合できたのがソニーだったから、ソニーさんが勝ったんです。巷間言われているソフト獲得競争は、任天堂が自壊し、NEC、パナソニック等が浮上せず、残ったソニー、セガの一騎打ちでのみし烈だったんです。つまり、最後のトドメ。それまでに世界大戦は終わっていたんです。

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