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ステークホルダーの皆様へ

中期業績目標の進捗と今後の課題

2023年3月期は、既存事業についてはスタジオポートフォリオの見直し、新規事業については、重点投資分野への取り組み強化等を行ってまいりました。 2022年5月に発表した、海外3スタジオ及び一部IPのEmbracer Group AB(本社:スウェーデン)への売却は、デジタルエンタテインメント事業における中長期タイトルポートフォリオ適正化及びその前提としての資源配分最適化の一環として、日本国外の開発体制整理を目途として実施したものです。

本件を皮切りとした当社HDゲームを中心としたデジタルエンタテインメント事業全体の構造改革は、端緒についたばかりであると認識しており、今後は中長期タイトルポートフォリオの再点検、それらを実現するための開発体制強化、具体的には内部開発リソース強化を一層推進するとともに、国内外パブリッシング機能の高度化・最適化に着手してまいります。 あらゆるコンソール・デバイスの性能が飛躍的に向上していることから、タイトル開発そのものの難易度が上昇し、開発期間も長期化しています。お客様に満足していただける高い品質のコンテンツを生み出すチーム・人材の拡充・育成には相応の時間を要することに加え、近年は人材獲得競争が激化していること、大規模開発に耐えうる外部パートナー企業の数が減少していること等から、質と量を同時にかつ短期で担保する開発体制を構築するのは極めて難しい状況です。また、冒頭で申し上げたとおり、当社グループのコンテンツづくりにおいて最も大事なものは、社員一人一人の個性とクリエイティビティにあると考えており、現在社内で進行している様々なプロジェクト、そしてそれに携わる社員の生産性にも配慮しながら構造改革を推し進める必要があります。これらの理由から、内製開発体制の整備・構築はじっくり腰を据えて取り組むべき課題と認識し、人材採用力強化、育成体制構築、開発プロセス整備など、多岐にわたる課題について、アジェンダを整理し、一歩一歩着実に推進してまいります。 また、デジタルエンタテインメント、特にHDゲームはデジタルシフトが進行しており、お客様に商品をお届けするディストリビューションチャネルのみならず、その手前、お客様に我々のコンテンツを知っていただくためのマーケティングやセールス活動における適切なコンタクトポイントづくり、コミュニケーション施策も極めて重要であると考えます。国内外問わず、パブリッシング機能を高度化させることで、新作・リピート販売双方の売上最大化実現を目指してまいります。 開発・パブリッシング両面から、中長期視点での最適な資源配分と受け皿となる体制構築に取り組み、デジタルエンタテインメント事業、特にHDゲームにおける収益性向上を実現してまいります。

新規事業領域については、重点3領域として、ブロックチェーン・エンタテインメント/Web3、AI、クラウドを掲げ、その中でもブロックチェーン・エンタテインメント/ Web3領域に注力してきました。ブロックチェーン・エンタテインメント/ Web3については、2022年2月に新たな社内専門組織を立ち上げたほか、海外拠点の事業開発組織を活用しながらグローバルベースでスタートアップ企業への投資を実行してきました。 こうした取り組みは今後も継続していきますが、従前から注力してきたブロックチェーン・エンタテインメント/ Web3領域はもとよりAIとクラウドといった他領域についても、社内外のリソースを活用しながらバランスよく取り組んでいく所存です。 特にAIについては、AIに特化した社内R&D組織、当社グループ内のAI領域専従の事業会社である株式会社スクウェア・エニックス・AI&アーツ・アルケミーのミッションを再度見直すとともに、投資や外部パートナーとの連携も含め、AIがもたらす当社事業への可能性をより幅広に捉えたグループ内フォーメーションの構築を目指します。さらには、デジタルエンタテインメント・コンテンツの定義をより幅広く捉え、新たなビジネスにも積極的に挑戦することで、ドメインの拡大・発展を図ります。


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