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今後のHDゲーム事業の改革として、3点上げたいと思います。 一つ目は、長期大規模開発の見直しです。 長期大規模開発は、資産の回転が非常に遅く、投資してから販売するまでの期間が長すぎるので、どうやってその回転を上げていくのかを考えなければなりません。 2013年3月期の決算が厳しいものになった原因は、収益機会面で、パッケージ販売のビジネスモデルの硬直的な性格が非常に悪く出たという点と、開発面で投資期間が長期化して資産の回転が悪くなっている点が重なったことによるものと認識しています。 従って、開発面においては資産の回転をどう上げるかということ重要となります。 数年間にわたって全く収益機会を持たずに完成後に一気に投資を回収するモデルと、完成前に部分的に収益化していくモデルとでは、同じ金額を投資するとしてもビジネス上のリスクは、大きく異なります。ここが重要なポイントであると考えます。 この問題は、単なる財務面の話ではありません。 資産の回転が悪いという事は、開発期間中の数年間、お客様との接点をほとんど持てていないということです。ゲーム内容を、お客様にお知らせしないまま数年間かけて開発し、完成後に初めてゲームを提供し、一気に投資回収するというモデルは、お客様を余りにも待たせ過ぎであり、収益機会を逃してしまいます。 特に、今のような時代で、数年間にわたってお客様との接点を持たないということは、お客様に対して不誠実であるとも言えます。今の時代は、完成してからお客様と接触を始める時代ではなくなっています。開発中・発売前もお客様と接触頻度を上げ、ゲーム内容を理解して頂いて、最終的にお客様の期待に添うようなゲーム開発をしていくというビジネスモデルに変えていかなければなりません。 Kickstarterというクラウドファンディングの仕組みがありますが、これは単なる開発者に対するファイナンスの仕組みではなく、開発中・発売前からお客様と関わりながらゲーム開発をするという開発・マーケティング一体になった仕組みであると捉えるべきだと思います。 米国Valve社が行っているSteam GreenlightやEarly Accessなども、お客様と接触頻度を高めて、ニーズを反映し、エンゲージメントを高めるという点で非常に興味深く、当社としても、そういう観点の取り組みをしていくことを検討しております。ゲームが完成する前にお客様に何を提供できるのか、どのようにしてそれをお客様に楽しんでいただけるのか、そしてそれをどう収益に結び付けられるのか、これを実施し資産の回転をあげてゆきたいと考えております。 以上が、長期大規模開発について、実現していきたいと考えている点です。簡単な話ではありませんが、十分可能な環境になってきていると思っています。