IR情報

2016年3月期 株主の皆様へ

これからの事業展開について

当社グループを取り巻く事業環境は日々大きく動いております。しかしながら、私どもが追求すべきものは、常に唯一「世界中のお客様への最高のコンテンツ体験の提供」であります。それこそがまさに当社グループの社会における存在意義であり、企業価値そのものであります。不断に変化する事業環境の中でそれを柔軟に実現してゆくことこそが、株主の皆様より私ども経営陣に対して負託された義務であります。このような認識のもと、今後の事業展開のテーマとして、①スマートデバイス向け有料ゲーム提供の強化、②VR(Virtual Reality:仮想現実)/AR(Augmented Reality:拡張現実)への取り組み、③新興市場(特にインド、中東、南米市場)への取り組みの本格化を掲げます。

1. スマートデバイス向け有料ゲーム提供の強化

現在のスマートデバイス向けゲーム市場では、国内外問わず、基本プレイ無料のいわゆるF2P(Free to Play)型が中心であり、有料の買い切りゲーム(プレミアムゲーム)はほぼゼロに等しい状況です。しかしながら、当社グループは、従来より新作も含めたプレミアムゲームをスマートデバイス向けに継続的に提供しており、グループ全体で見ると相応のレベルの収益となっております。 F2P型のゲームは、大きなダウンロード数に支えられたアクティブプレイヤーの厚い層から得られる課金収益により大変な成長を遂げてきました。開発投資が従来の家庭用ゲーム開発よりも相対的に低く、かつ大きな収益を見込めるとの認識から、多くの事業者が参入してきたわけであります。その結果、市場全体としては大きく成長はしたものの、大変な過当競争となりました。また一方で、スマートデバイスの性能は著しく向上し、かつお客様のF2Pゲームに対する選別眼も厳しくなった結果、かつてのような低開発投資で大きなリターンを得られるマーケットではなくなっております。 ところが、これをプレミアムゲームの視点から見ると、別の景色が広がってきます。初期開発投資という点では、F2Pゲームおよびプレミアムゲームは、携帯ゲーム専用機向けの新作のゲーム開発投資とほぼ同じか、場合によってはそれよりも高くなっており、すでにローリスクの投資ではありません。さらにF2Pゲームの場合、運営開発投資が継続して発生するという点でプレミアムゲームよりもハイリスクとなっております。 F2Pゲームは、基本プレイが無料であることから爆発的なダウンロード数を獲得し、分厚いアクティブユーザーに支えられて大きな収益を獲得することができますが、プレミアムゲームの場合は、初期開発費償却後も長期間にわたってご購入いただけるという利点があります。 もちろん、頻繁に繰り返されるOSのアップデートへの対応やユーザーの皆様に知っていただくための継続的なマーケティング投資は欠かせませんが、ゲーム専用機が下位互換性の問題から、かつてプレイしたゲームを再度プレイすることが難しかったのに比して、スマートデバイスにおいては、長期にわたって遊びたいゲームがすぐ遊べるという環境が実現します。 また、携帯型ゲーム専用機という視点で見たとき、現在のスマートデバイスは以前に比べて格段にスペックも操作性も向上しており、それは今後もとどまることはないものと思われます。世界的にみても、携帯型ゲーム専用機に比べて、スマートデバイスのインストールベースは圧倒的であります。スマホネイティブの世代にとっては、オールインワンのゲーム機として市民権を確立しているものと言えます。 よって、私どもゲームメーカーにとっては、従来の携帯型ゲーム専用機向けに開発していたゲームを汎用型ゲームデバイスとしてのスマートデバイスにこれら専用機に加えて供給するというのは、重要な出口の一つとなりえます。 ゲームデザインの面から見ても、スマートデバイスの操作性は、ターンベース型のRPGやシミュレーション型のRPGなどと親和性が高いと考えております。ターンベース型のRPGは一つのスタイル・様式であり、決して古いものではないと考えております。こういったRPGの開発は、従来より当社グループの得意とする分野であります。 携帯型ゲーム専用機に加えて、こうしたスマートデバイス向けにRPGの新作を投入することにより、プレミアムゲーム市場を開拓して、F2Pゲームに並ぶ一つの柱としたいと考えております。そうすることで、広い意味での携帯型ゲーム市場をより豊かにし、お客様のニーズに広くお応えできるものにしてゆきたいと考えております。


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