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ステークホルダーの皆様へ

新中期経営計画

前中期経営計画の総括を踏まえつつ、未来を見据え、確かな面白さをもつバラエティ豊かなコンテンツを世界中にお届けする存在へと進化すべく、新中期経営計画「Square Enix Reboots and Awakens」を策定しました。今後3か年を「さらなる成長に向けた再起動の3年間」と位置づけ、後述する4つの戦略を実行してまいります。

1 デジタルエンタテインメント(DE)事業の開発体制最適化による生産性向上

「確かな面白さ」をお届けする「量から質へ」の転換という考え方のもと、すべてのプロジェクトを見直し、タイトルポートフォリオの再構築を行っていきます。そのために、(1)当社グループ社員の想像力から生まれる独創性のコンテンツへの反映(プロダクト・アウト)と、お客様の声やマーケットトレンドのキャッチアップ(マーケット・イン)を、バランスよく開発プロセスに組み込みます。(2)お客様に長く愛されるポテンシャルの高いタイトルに、人材と開発投資を重点的に配分し、タイトル開発を担うコアチームの練度向上を図ります。(3)最適な頻度とタイミングを考慮したローンチスケジュールを可能とする、重層的なタイトルラインナップ構築を目指します。これら3つを推進することで「量から質」への転換を実現してまいります。

また、タイトル開発においては、スクウェア・エニックスならではの「面白さ」をお客様にお届けすることをより重視し、大・中規模のHDタイトルについては安定した「面白さ」をベースに、ファン層の維持・拡大に努め、SDタイトルについては、安心して長く遊べる「面白さ」をベースに、ヒットレシオ(ヒット率)向上を目指してまいります。新規IPタイトルについては、新たなファン層開拓に向け、新規性・独創性のある「面白さ」を重要視し、タイトル開発を行っていきます。並行して、当社グループが保有する豊富なライブラリーIPを活用し、カタログラインナップの強化にも挑戦してまいります。

また、スクウェア・エニックスならではの「面白さ」を生み出す体制を構築するため、開発体制の整備にも着手してまいります。全社で開発リソースをより柔軟かつ効率的に活用できるよう、事業部型組織モデルであるビジネスユニット制を廃止し、一体運営型の組織体制をゴールに開発体制の再編を進めています。さらには、「個」のクリエイティブと「組織」のマネジメントが調和した開発体制への転換をすべく、プロデューサーおよびそれに付随する職種のミッションを再定義し、社内支援体制整備及びタイトル開発進捗管理プロセス全体の見直しによる、開発投資効率向上に努めてまいります。

2 コンタクトポイント(顧客接点)強化による収益獲得機会の多様化

HDタイトルについては、マルチプラットフォーム展開を推進し、主要IPタイトルおよびAAAタイトルは、カタログタイトルも含め、世界中のより多くのお客様に遊んでいただける環境を整備してまいります。SDタイトルについては、iOS/Androidに加え、PC等のローンチも選択肢として検討し、ローンチ時の新規ユーザー獲得や運営開始後の継続的なユーザー獲得最大化を図っていきます。

タイトルの発売プラットフォーム拡大によって、お客様が当社タイトルに触れる機会を増やすだけでなく、デジタル販売強化による当社タイトル群の継続的コンタクトポイント構築にも積極的に取り組んでまいります。新作タイトルにおいては、ローンチ時プロモーション施策におけるデジタル販売への導線強化を推進していく一方で、豊富なカタログタイトルライブラリーの拡販による安定的な収益基盤の強化も目指します。

パブリッシングにおいては、機能の高度化によるお客様とのインタラクション創出を目指し、旧ビジネスユニット制で点在していたマーケティング機能を集約し、共有知の拡大と重複機能排除による効率化を推進するとともに、セールス機能とマーケティング機能の連携強化にも努めていく所存です。さらに、HDおよびSDタイトルのローンチキャンペーンにおけるファーストパーティーデータ(自社保有データ)の活用によるマーケティングの高度化にも取り組んでまいります。

これらの取り組みに加えて、当社IPの多面展開による新たな収益獲得機会創出にも積極的に取り組んでいきます。まずはグローバルマーケットに特化したIPビジネス開発専門部署を新設し、ライセンスビジネスのエリアを拡大することで、クロスメディア戦略のさらなる推進及び新規市場へのアプローチを図ります。また、ライツ・プロパティ等事業関連組織を統合することで、IPの多面展開を推進するための組織体制を構築し、社内におけるシナジー創出を目指してまいります。

3 経営基盤のさらなる安定化に向けた各種施策の導入

海外事業部門においては、欧州、米国両拠点の機能及び組織構造の見直しと、それに伴うコスト最適化に着手してまいります。具体的には、日本国内事業部門の新組織発足に対応した組織の再構築を目指します。また、開発という観点では、当社グループ間での協業を促進し、ロンドン開発拠点の機能強化等、グループ横断での緊密な連携や人材活用推進を図ります。

国内においては、創造力と生産性の両立に向けた、組織・人事関連施策群の導入を進めていきます。新たなタレント発掘を企図した抜擢登用のチャンス拡大と、意思決定機構の簡素化に向け、2024年4月よりフラットな組織体制の構築に着手しました。開発部門においては、先に述べた一体運営推進の考え方のもと、採用・昇格・マネジメント任命制度の整備や導入を進めています。

このような組織整備と並行して、人材育成にもさらに注力していく所存です。中長期的な社内人材の育成に向けて、新入社員を中心とした研修・育成システムの再構築や若手・中堅社員の能力伸長をサポートする各種社内プログラムの導入も予定しています。

また、事業活動のさらなる可視化に向け、管理会計制度の精緻化や社員の生産性最大化のためのオフィス環境整備等、各種インフラへの投資も行ってまいります。

4 成長投資と株主還元のバランスを勘案したキャピタル・アロケーション

資本政策の面からは、成長投資と株主還元のバランスを勘案したキャピタル・アロケーションの方針を策定し、最大1,000億円の3か年累計の戦略投資枠(成長投資または株主還元)を設定しました。成長投資については、企業価値向上に資する投資機会を厳選し、自社事業の知見を活用するとともに、業容拡大及び安定化を企図したインオーガニック投資の実施を検討します。株主還元については、配当性向30%を基本方針とする通常配当に加え、これまでの当社におけるキャピタル・アロケーションのあり方を見直し、戦略的な投資機会や、財務状況・株価状況等を勘案した上で、機動的な自己株式取得を可能とする、取得枠200億円(2024年5月14日~2025年5月13日)を設定しました。また、1株当たり配当額における内訳(中間配当及び期末配当)についても見直しを実施しました。

当社グループでは、こうした経営上の目標の達成状況を判断するため、下記3つの財務目標値を設定し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

  • • DE事業全体の安定的な利益創出を実現し、かつ、2027年3月期連結営業利益率15%を目指します。
  • • 3か年累計800~1,000億円の戦略投資枠(成長投資または株主還元)を設定いたします。
  • • 資本効率を意識した経営にシフトし、ROE10%以上の達成を目指します。

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